このページでは、会社が暑い!もうやめたい!と会社の暑さに苦しんでいる方に向けて、工務店という立場からなぜ暑く感じられるようになるのか、その対処方法をお話したいと思います。
目次
会社が暑いと退職者が増加する!?
一般的な職場だと、年齢層・性別がバラバラで職種によっても差はありますが、一般の事務職の人で考えると、通常週休2日の勤務体制として、1日8時間、週で40時間、1ヶ月にすると160時間前後職場で過ごす事になります。
そんな長時間過ごす職場で、快適に効率よく働く為にも大切なのが、職場内の室内温度です。
この室内温度、一般事務職の人にとってはとても重要で、1日中机に向かい椅子に座って作業するので体温調整が上手くいかず、手足のむくみや喉の痛みから頭痛まで引き起こし体調を崩し、ひいては慢性の病気を引き起こしかねません。
エアコンの設定温度次第で暑すぎても、寒すぎても不快で、集中力も途切れがちになります。特に女性は敏感に環境の変化に反応します。その上体質で冷え性の人もいれば、暑がりの人も・・・もちろん職場には男性もいます。室内温度を不快に感じるようでは、身体に変調をきたし、それが続くと心身ともにストレスとなり、貴重な人材を退職にまで追い込んでしまう可能性も無きにしも非ずです。
なぜ会社は暑くなる?原因は様々
気温などの外的な要因
最も大きな要因はやはり外的な要因である日照、気温、湿度です。
気象庁によると、2019年の夏は日照時間が多く、厳しい暑さであったようです。従って、今年は会社が暑かったと感じた人も多かったことでしょう。
このような外的な要因を私たちがコントロールするのは不可能です。しかし、外的要因に合わせて社内の環境を調節することはできます。
方法としてはエアコンでの気温調整が挙げられますが、光熱費やエコ、逆に冷やしすぎという問題もあります。
昨今、エアコンによる気温調整以外の室内温度調整方法を考える段階にきているのではないでしょうか。
社内の人口密度
社内の人口密度が高ければ、それだけ体温や呼気による排出により社内の湿度や温度は上昇します。
例えば、1R6畳のマンションに2人で住んだ場合を想像してみて下さい。夏でなくても暑く感じることは容易に想像できるかと思います。
最適な人口密度は一概には言えないのですが、従業員がすし詰め状態になっているようであれば、暑さの問題だけでなく、そもそも不快に感じる社員が増えてきます(我々はそれぞれパーソナルスペースという他の人が入ると不快に思う領域を持っているからです)。
働き方改革が叫ばれている昨今、従業員数に合った職場面積の確保は必ず必要なのです。
情報機器の熱
オフィスに置かれる大型プリンターの排気による室内温度上昇は意外と見過ごせないものです。
パソコンも問題となります。ノートパソコンならまだ良いのですが、大型のサーバーパソコンの排熱は見過ごせないものです。
このような情報機器については、室温上昇だけでなく、騒音がうるさい!という問題もありますので、できるだけ社員が働く部屋とは部屋に置くのが望ましいと言えます。最悪でもパーティションで区切るなどした方が良いでしょう。
窓からの流入
兎に角エアコンさえつければよいと思っている方は多いと思いますが、根本的には窓が原因となっているケースが多くあります。
実は、窓がしっかり閉まっていても、夏は74%も外気温が流入し、冬は52%も温めた室温が流失してしまうのです。
このように、窓からの外気温の流入が多いことが会社の暑さを生んでいる可能性が非常に高いと考えられます。
という事は、窓まわりを工夫するだけで、室温もコントロールできるという事です。
更に、窓であればそれほど費用がかからず対策することが可能です。コストパフォーマンスの面でも、まずは窓に関する対策を行うことが有効です。
会社の暑さ対策は窓に注目する
それでは、会社の暑さ対策として、窓に関する様々な対策を中心に紹介していきます。
窓からの日差しをコントロール
室内温度に大きく影響するのは、外から入ってくる日差しがあります。
窓のある方角で時間帯によっては強烈な日差しが室内に差し込み、エアコンの温度を下げても窓際の温度は下がりにくくなります。また日差しが明るすぎるのも目の負担が増え、またパソコン操作にも日差しが反射して支障をきたします。
対策としては、「ブラインドの取付」が有効です。ブラインドにも特徴ががありますので、窓の形状・大きさなど、用途にあわせて選びましょう。
横型ブラインド(ベネシャンブラインド)
羽の上下方向の角度を調整して光の量を細やかにコントロールできます。更に、スラット(羽根)の開き具合を調整して、取り入れる光の量を調整できます。
また、羽根の角度調整でプライバシーを守りつつ光の調整が可能です。小さな窓向きで、比較的安価です。
<お手入れ方法>
スラット(羽根)部分にほこりが溜まりやすいので、スラットの隙間の汚れを、手を切らないよう軍手などをしてふき取る。
縦型ブラインド(バーチカルブラインド)
羽根の左右方向の角度調整による光の調整に向いている。シンプルでスタイリッシュなデザインだが、羽根の角度により、部屋の中が見えてしまう。背の高い大きな窓向きで、間仕切りとしても使用可能。価格は比較的高価。
<お手入れ方法>
普段のお手入れは、羽根に着いたほこりをはたくようにします。羽根を1枚1枚取り外す事が可能なので、素材にもよりますが、汚れた部分だけ取り外し洗う。
「断熱性」を高める
基本的にオフィスの壁などは断熱材が入っているので、外気の熱が伝わりにくくなっています。しかし窓は断熱がされていない場合が多く、その窓からの熱の侵入が圧倒的に多いのです。
また、窓ガラスを交換する事により、防音効果も高くなる他、カビやダニの温床になりやすい結露も低減させる事ができます。
以下の対策方法があります。
- 窓のフレーム交換
- 窓ガラスを変える
窓のフレーム交換
通常のアルミサッシの窓から、樹脂フレームの窓に変えます。これにより、熱の伝わり方が1/1000になり室内温度の変化が少なくなります。
YKKAPの検証では、アルミサッシと樹脂フレームでは7℃の違いがあったとのことです。
窓ガラスを変える
断熱ガラス
サッシはそのままで、複層ガラスに交換します。
「複層ガラス」は、2枚のガラスで空気層をつくり断熱効果を高めるものです。
「遮熱複層ガラス」というものもあり、2枚ガラスの室外側に特殊金属膜をコーティングしたガラスを使用します。空気層と金属膜効果でより断熱効果が高くなります。
二重窓
既存の窓の室内側に、新たに内窓を設置します。既存窓と内窓の間に隙間(空気層)ができるので、断熱効果は高く防音効果も高くなります。内窓のガラスを複層ガラスなどにする事で更に断熱効果を高められます。
その他に、断熱スプレーを吹き付ける、断熱シートフィルムを貼る、断熱コーティング材を塗るなどの断熱効果を上げる方法もあります。
窓を変えることで光熱費削減効果もある
窓を変えることでどれだけ年間冷暖房費が変わるかを比較したYKKAPの実験によると、通常のアルミサッシと樹脂窓とでは冷房費については、それほど変わらなかったものの、暖房費については、29%の違いが生まれたとのことです。
仮に冷暖房費で年間20万円のコストが発生しているのであれば、約14万円程度まで抑えることができるということです。
このように、社員のモチベーション向上や作業効率向上だけでなく、実際のコスト削減効果もあり、窓の交換は非常に有効であると言えるでしょう。
まとめ
このように、エアコンでの温度や風量調設定だけではなく、「窓廻り」を変える事により、会社の暑さを軽減することが可能となります。職場環境もよくなりますし、省エネにも効果があります。
快適な職場づくりに、窓廻りを見直してみませんか。