夏に暑いのは当たり前、でもなぜ冬でも社内が暑いのか?そんな疑問を感じる人が多いようです。
足の冷えを防ぐためにブランケットをかけている人がいる一方で、冬にも関わらず暑くて仕事が手につかない・・・そのような人が会社には多くいます。
1日のほとんどの時間を社内で過ごす事務職の人には、この問題はとても深刻と言って良いでしょう。
長年リフォームを手掛けてきた経験から言うと、大きな原因は以下のようです。
- 場所(席)によって温度にムラがある
今回の記事では、冬にも関わらず会社で暑さを感じている人に向けて原因の説明と対策を書いていきたいと思います。
目次
暑い人は暑い、寒い人は寒い・・・その原因は室温のムラ
まず、「ダイキン工業株式会社 第6回現代人の空気調査(複数回答可)」によると、9割以上の人が何らかの「不快を感じている」と答えているとのことです。
そして、内訳は以下のようになっているとのことです。
順位 | 不快に感じていること | 全体に占める割合 |
1位 | 場所(席)によって室温にムラがある | 62.5% |
2位 | 空気が乾燥しすぎている | 42.9% |
3位 | 空気がよどんでいる | 34.6% |
4位 | 暖房の設定温度が高すぎる | 28.9% |
5位 | 臭いが気になる | 22.9% |
このように、「場所(席)によって室温にムラがある」ことを上げる人が最も多いという結果となっています。
これは、職場では夏でも冬でも
- 寒い場所(席)があれば、暑い場所(席)もある
ということを示しています。
これは、仕事の生産性からみると非常に大きな問題と考えられます。
職場の温度は法律で決められているが・・・
そもそも論で言えば、職場の温度や湿度は法律できっちりと定められています。
労働安全衛生法の事務所衛生基準規則第5条3項では、
事業者は、空気調和設備を設ける場合は、室の気温が17度以上28度以下及び相対湿度が40%以上70%以下になるように努めなければならない
と定められています。
しかし、ただ単にこの法律通りにエアコンの設定温度を一律に定めてしまうと大変なことになってしまいます。
なぜなら、入り口付近などの一番寒い場所を17度以上にするためにエアコンの設定を一律に行うと、エアコンの直下などの場所では自ずと温度が高くなってしまうからです。
しかも、エアコンの温風は頭に直撃します。このため、冬なのに暑くて頭がボーッとしてしまう、という人が一定数現れてしまうのです。
ですから、冬でも会社が暑いと感じる直接の原因は温度設定ですが、その原因は「室温のムラ」ということになります。
では何が室温のムラを生むのでしょうか。この原因を取り除けば、快適な職場環境が実現するはずです。
室温のムラを生じさせる原因は外気の流入や熱の放出
室温を高くする要因
パソコン・コピー機などの機械類
仕事上必要な物が、パソコンやプリンター、コピー機など、今ではこれらがないと仕事ができない状況です。使用していると気づくと思いますが、これらからは、沢山の熱が放出されています。
プリンターの排気口付近に席がある人は、常に排気に晒されていますし、デスクトップパソコンを使っている場合、排気口は裏面についていることが多いため、対面の席にいる人に向かって排気されることになります。
室温を低くする要因
出入り口からの外気流入
出入り口付近は外気が入りやすくなります。
エアコンをつけていてもこの付近の人は、ドアの開け閉めによる気温変化が多く、冬は寒さを感じる人が多くなります。
特に受付の対応をしないといけない社員の方は、出入り口付近の席に座らなくてはならず、自ずと寒さに直面する状況に置かれます。
窓からの熱の流出
窓は熱の流出入が激しく、YKKAPによると一般的なアルミフレームの窓では冬に52%もの熱が流出するとのことです。
窓際の席に座っている人も多いと思いますが、窓が古いタイプのアルミフレームの場合、冬にはかなりの寒さを感じることになります。
そして、これは恐らく室温が下がる最も大きな要因となります。
壁からの熱流出
窓が付いていなくても、断熱が不十分な壁の場合、外気の寒さが室内に伝わってきてしまいます。
室温のムラをなくすための室温均一化対策
室温のムラをなくすためには、上記の「室温を低くする要因」と「室温を高くする要因」について両面で対策を打つ必要があります。
そして、冬場に場所による室温のムラを防ぐためには、特に「室温を低くする要因」を解消することが必要です。寒い場所の気温を上げることで、室内全体の室温を均一化できれば、寒い場所につられてエアコンの設定温度を高く上げずに済むようになるからです。
寒い場所をなくすためには
簡単にできる対策
対処療法となり、既に多くの会社で行われていることかと思いますが、寒い席では
- ブランケットを配布する
- 電気ファンヒーターを設置する
- 電気カーペットを設置する
などの対処が有効です。
また、入り口付近の席で、外気が入ってくることが問題であれば、パーティションを設置するなど、流入した外気に直接的に触れないようにすることが重要となります。
出来ればやりたい対策
窓際や壁際にも机の配列は避けられないと思いますので、窓や壁の断熱性能を見直すことがオススメです。
そして、最も効果的で工事がしやすいのは、「窓」です。壁の場合、後付けで断熱材を張り付けるような工事が必要となりますが、結露が発生するというデメリットや予算の関係からあまり採用されないようです。
窓の工事で考えたいのが以下の方法となります。
- 窓自体を交換する・・・窓のフレームを樹脂にして、ガラスを複層化することで、熱の流出を防ぐことができます。
- 内窓(インプラス)を付ける・・・窓を二重にすることで空気層を作り、熱が流出しないようにします。これは、結露防止にも非常に効果があります。
あくまでも予算との兼ね合いですが、内窓はそこまで予算がかからず、効果も高いのでおススメです。
また、ドアから外気が入ってくる場合は、ドアの交換によって気密性を上げたり、どうしても寒ければ風除室を設けることも効果的です。
暑い場所をなくすためには
逆に暑い場所をなくすためには以下のような対策が有効です。
照明をLEDに変える
白熱灯や蛍光灯よりも発する熱量が少ないのがLEDです。寿命も長く省エネ効果にもなります。
換気設備を整える
空気がよどむと、温度変化や湿度にも影響を及ぼします。特にコピー機などの熱源の多い場所は、熱がこもりやすいくなるので、換気設備が必要となります。また、サーキュレーターなどの設置により、部屋の上下で生じる温度差を攪拌させる事も効果があります。
まとめ
冬でも会社が暑い原因は、寒い場所(席)に合わせてエアコンの温度を上げないといけないため、局所的に暑い場所が発生してしまうということでした。
つまり、室内に温度のムラがあることが原因ということです。これを防ぐためには、寒い場所(席)の温度を上げるための対策が重要となります。
そして、その対策としては窓の交換や内窓の設置が最も効果的ということを書きました。
最後に、上記では温度について書いてきましたが、冬場は乾燥しやすいため、湿度の調整も必要となります。
特に1日座っている事の多い事務職の方などは、オフィス内の乾燥が影響して脱水症状になる事があるそうです。脱水になると、血液がどろどろになり、血流が悪くなり頭はボーっとして手足が冷えて気分が悪くなることもありますので、こまめな水分補給も必要です。
空気が乾燥していると風邪もひきやすくなりますので、加湿器も必要となります。内窓などと併用すると結露が起きにくくなりますので、検討してみて下さい。
また、時々身体を動かし代謝を上げれば体温も上がるので、寒いと感じる人は、寒いからとじっとしているのではなく、適度に身体を動かす事もオススメします。