近年、建設およびリフォームにおいてドローンの活用が急速に広がっています。その中でも、工場の屋根をリフォームする際のドローンの活用は、効率性、安全性の面で非常に有用と言われています。
このページでは、そもそもなぜ工場の屋根リフォームが必要なのか、またドローンが活用できる場面やメリットについて紹介していきます。
目次
ドローンとは?
ドローンは、無人航空機としても知られ、リモート制御または自動飛行によって運用される小型航空機を指します。
これらの機器は、高解像度カメラ、サーモグラフィー、LIDAR(Light Detection and Ranging)などのセンサーを備え、さまざまな用途に適しています。言うまでもなく、特に高所においてその力が大きく発揮されます。
リフォームにおいては、工場やビルの屋根の点検、評価は、ドローンが最も活躍できる領域です。
工場で屋根の修繕を怠ると大きな問題となる
そもそも工場やビルの屋根は定期的なリフォームが必要です。
工場や工業施設の屋根は、風雨、紫外線、気温変動などの外部要因にさらされ、経年劣化や損傷のリスクが高まります。
工場や施設の屋根が劣化すると、さまざまな問題が発生する可能性があります。以下は、屋根の劣化によって引き起こされる主な問題点です。
1. 雨漏りによる被害
劣化した屋根は、雨漏りや雨水の侵入を引き起こす可能性が高くなります。
この結果、施設内部や機器に損傷を引き起こす危険性があります。水の浸入により、壁、床、電気設備などの損傷が生じ、修復や交換が必要になる可能性があります。
例えば、以下のような問題が起こり得ます。
1 商品在庫の毀損
在庫品が雨水に濡れたり、水によって損傷する可能性があります。食料品や電子機器には大きな問題です。
2 機器の故障
工場内の機器や電気設備が水にさらされると、故障やショートサーキットの原因となります。これにより、最悪は生産ラインの停止や修理が必要となる可能性があります。
3 建築物の損傷
長期間にわたる雨漏りは建物の構造に損傷を与える可能性があります。天井や壁の崩壊、構造物の腐食などが発生することがあります。
4 労働環境の悪化
雨漏りによって施設内の床が濡れると、滑りやすくなり、従業員の安全性が脅かされる可能性があります。また、湿気が増加することでカビや黴の発生も懸念されます。
2. 内部の環境問題
屋根の劣化により、施設内の湿度や温度が制御できなくなることがあります。
湿気の増加や温度の変動は、作業環境を悪化させ、機器や在庫品に影響を与える可能性があります。特に、高湿度は金属部品の錆やカビ、結露などの問題を引き起こします。
3. 構造的な危険性
劣化した屋根は、その構造的強度を失い、耐久性が低下します。
風や雨、雪の影響を受けやすくなり、強風や荒天の際に屋根が損傷し、周囲の建物や設備に被害を与える危険性があります。これにより、施設全体の安全性が脅かされます。
ここ川口市でも、工場の屋根の雨漏りを修理していた事業者が、屋根に穴が開いたことで、工場内に落下して死亡するという痛ましい事故が起こりました。
4. エネルギー効率の低下
劣化した屋根は断熱性能を低下させ、施設のエネルギー効率に影響を与える可能性があります。断熱効果の低下により、冷暖房費用が増加し、エネルギーの浪費が生じることがあります。
これらの問題点からもわかるように、工場や施設の屋根の劣化は、施設運営や作業環境に深刻な影響を与える可能性があります。定期的な点検やメンテナンスが重要であり、劣化を早期に発見して修復することが、より大きな被害を未然に防ぐために重要です。
ドローンによる人的リスクの軽減
屋根リフォームを行う場合、足場を組むことが必要ですが、高所での作業に携わる作業員の安全性確保は長年の懸念材料でした。
厚生労働省は、足場に関する法定の墜落防止措置を定める労働安全衛生規則を改正し、令和5年10月1日(一部規定は令和6年4月1日)から順次施行するとしています。これは、氏名の記録が必要とされるなど、管理面で強化するものです
一方で、これをテクノロジー革新によって対処しようとするのが、ドローンによる点検です。ドローンによる点検では、人間の介入を最小限に抑えることができます。事故が起きる可能性を根本から取り除こうとする考え方です。
上記で、実際の事故について記載しましたが、事前にドローンで検査していれば、屋根に穴が開くリスクも事前に把握できる可能性が高まります。高所に登るリスクだけでなく、屋根の脆弱性リスクなども事前に把握することができるのです。
ドローンを使うことでコストメリットがある
上記のように、足場を組む必要性が少なくなることで、コスト面でメリットがあります。
1. 足場設置のコスト削減
工場やビルの屋根リフォームにおいては、高所での作業や点検が必要であり、足場の設置が一般的です。
足場の組み立て、維持、および撤去には当然高いコストがかかります。しかし、ドローンの活用により、予め足場を組む必要がなくなり、これに伴うコストが削減されます。勿論、施工時には足場は必要とされるのですが、レンタル料などを考えると、足場を使う期間を短縮することによるコストメリットがでてきます。
2. 作業期間の短縮による工数の削減
足場の設置と撤去には時間がかかるため、その分の作業期間が必要とされます。一方、ドローンによる点検とデータ収集は効率的で迅速であり、作業期間を短縮することができます。
3. 人手不足と建築費高騰への対応
昨今、建築に使用される主要な資材の価格が上昇しています。鋼材、木材、セメントなどの建築資材の価格上昇が、建築費の増加に直結しています。これには戦争の影響もありますが、アジア諸国の需要増加や輸送コストの増加などが影響しています。また、人手不足により人件費も増加しています。優秀な職人が減りつつあり、全体的に賃金の引き上げも進んでいます。従って、これまでのように資材や職人をふんだんに投入することは難しくなっており、それをテクノロジーでカバーする必要性が出てきています。
まとめ
工場や施設の屋根リフォームは、経年劣化や外部要因によって引き起こされる様々な問題からくる必要不可欠な作業です。雨漏りによる損害や労働環境の悪化、エネルギー効率の低下など、これらの問題を未然に防ぐためには、定期的な点検とメンテナンスが重要です。
近年、この作業においてドローンの活用が急速に進んでいます。ドローンは高所での作業を最小限に抑え、高解像度カメラやセンサーを活用して迅速かつ効果的な点検を可能にします。これにより、労働者の安全性向上とコストの削減が実現されます。
具体的なコストメリットとしては、足場を組む必要性を軽減し、点検作業の効率を向上させるなど、が挙げられますが、人手不足や建築資材の高騰に対処する手段として非常に優れたツールと言えます。
今後、ドローン活用が一層進化し、建築プロセスをより効率的かつ安全に導くことが期待されますね。